アニサキス

胃アニサキス症ってどんな病気?

胃アニサキス症は、アニサキス亜科幼線虫という寄生虫が胃の粘膜に刺入することで発症する内臓幼虫移行症の一種です。
ヒトに感染して胃アニサキスを引き起こす原因となるアニサキス亜科幼線虫としては、次の4種類と報告されています。

ただし、日本で発症した胃アニサキス症の原因の約90%は、Anisakis simplexが原因と報告されています。
これらのアニサキス亜科幼線虫は、アザラシ、クジラ、イルカなどの海産哺乳類を終宿主として、オキアミを第一中間宿主、アジ、サバ、イワシ、カツオ、サンマ、イカなどのいわゆる大衆魚を第二中間宿主とする生態系を構成しています。ヒトが、この第二中間宿主であるアジ、サバ、イワシ、カツオ、サンマ、イカなどを食べたときに感染します。

胃アニサキス症の主な症状

  • 突然発症する激しい胃痛・みぞおちの痛み
  • 嘔気・嘔吐
  • 発熱
  • 皮疹(じんましん、浮腫性紅斑)
  • かゆみ

胃アニサキス症の原因とは?

アニサキス胃アニサキス症は、ヒトがアニサキス亜科幼線虫の第二中間宿主であるアジ、サバ、イワシ、カツオ、サンマ、イカなどを食べたときに経口感染します。特に、アニサキスは、第二中間宿主である海産物の新鮮なお刺身やお寿司を食べると感染しやすいと言われています。アニサキスは、加熱や冷凍で簡単に死滅するため、これらの処理を行うと感染が防げます。
原因となる海産物を生で摂取すると、約1時間から数時間後に突然激しい上腹部痛が出現し、発症することが多いと報告されています。アニサキスは、原因となる魚介類の筋肉に寄生していますが、胃内で食物が粉砕・消化される過程で筋肉から脱出し、胃粘膜に刺入して寄生します。
通常、胃アニサキス症では、激しい胃痛が出現しますが、これらの症状はアニサキスが胃粘膜に嚙みついたために起こるのではなく、アニサキスが胃粘膜内に侵入したことでアレルギー反応が起こることが原因と考えられています。胃アニサキス症で起こるアレルギー反応は、即時型アレルギー(Ⅰ型アレルギー)です。アニサキスが胃粘膜に侵入してアレルギー反応で周辺の胃粘膜が腫れることで痛みなどの症状が出現すると考えられています。

胃アニサキス症の検査・診断について

胃アニサキス症の診断では、突然発症した激しい胃痛という症状があるということと、この症状が出現する1時間以上前に原因となる魚介類を生食で摂取しているという病歴を問診で聴取することが最も重要です。
症状と病歴聴取から胃アニサキス症が強く疑われれば、胃カメラ検査を行い、胃粘膜に白い糸状のアニサキス虫体が刺入しているところを確認することで確定診断となります。胃カメラ検査時にアニサキス虫体が確認できなくても、限局して発赤・腫脹した胃粘膜を認める場合や虫体が刺入した跡と思われる粘膜下腫瘍様の発赤びらんを認めた場合は、胃アニサキス症を強く疑います。

胃粘膜に刺入しているアニサキス虫体です。周囲の胃粘膜はアレルギー反応で発赤し浮腫も認めます。

胃アニサキス症の治療について

アニサキス除去アニサキスの感染幼虫に有効な駆除薬はないため、胃カメラで胃粘膜に刺入している虫体を直接、摘出するのが唯一の治療方法です。胃カメラ検査時にアニサキス虫体を確認した場合は、鉗子というマジックハンドのような内視鏡処置具を用いて胃粘膜に刺入した虫体をつかんで摘除します。アニサキスは、一匹だけでなく複数匹認める場合も多いため、一匹除去しても安心せずに胃内を詳細に観察して、他にも虫体が居ないことを確認してから検査を終了する必要があります。虫体を除去すれば、症状は比較的速やかに改善します。

当院の胃カメラ検査の特長

胃カメラ検査胃痛の原因には、胃アニサキス症以外にも様々な病気があります。症状がある場合は、自己判断で様子をみるのではなく、必ず消化器内科を受診し、専門医の診断を受け、必要に応じて胃カメラ検査を受けましょう。
当院では、患者様の苦痛に配慮した内視鏡検査を提供しています。検査を受けた患者様から「想像していたよりもずっと楽だった」とのお声を頂けるようにスタッフ一同、日々努力しております。
どのように内視鏡スコープを操作すれば、苦痛に配慮した内視鏡検査になるのかを熟知した専門医が検査を担当します。
少しでも気になる症状があれば、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

監修:鹿児島中央駅西口消化器内科・胃大腸内視鏡クリニック  院長 細川 泰三

TOPへ