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精密検査では
鎮静剤を使用した経口内視鏡検査を
お勧めする理由

経口胃カメラ経鼻内視鏡検査で使用するスコープは太さが細く、高性能で高画質なカメラを搭載することが出来ないため、精密検査には適していません。そのため、精密検査では経口内視鏡検査を行いますが、鎮静剤を使用しない場合、検査中に非常に苦痛を伴う可能性があります。苦痛から検査中に動いてしまうと、本来の目的である精密検査が出来なくなることがあります。
しかし、鎮静剤を使用した経口内視鏡検査は、患者さんが眠っている間に検査が終わり、胃の中を隅々までしっかりと検査できるため、精密検査に適した胃カメラ検査です。

鎮静剤について

鎮静剤を使用しない検査 鎮静剤を使用した検査
検査中の意識 あり 無し
*寝ている間に終わる
検査時の
吐き気・えずき
強い 無し
カメラ挿入時の
苦しさ
あり 無し
検査中の
息苦しさ
あり 無し
心拍数 増加する 低下する
血圧 少し増加する 低下する
酸素飽和度
(動脈血中の酸素量)
少し低下する 低下する
心筋酸素消費量
(1心拍当たりに心臓が必要とする酸素の量)
増加する 低下する
検査精度 非常に高い 鎮静剤を使用しない経口内視鏡検査よりもさらに詳細な観察可能
院内滞在時間 検査時間+結果説明時間 検査時間+結果説明時間+休憩時間
*検査後に1時間程度休憩が必要
検査後の
乗り物の運転
できる 検査当日は不可
*検査翌日より可能
検査後の
危険な作業
(高所での作業など)
できる 検査当日は不可
*検査翌日より可能
鎮静剤による
副作用リスク
なし 非常に低いがリスクあり
検査費用 厚生労働省の定めた診療報酬により算定される金額 胃カメラ検査代に加えて使用薬剤により鎮静剤使用分の費用負担増あり
*自己負担率3割の場合で20~160円程度増加

診察をしていると、多くの患者様から胃カメラ検査に対して次のような声をよく聞きます。
「生まれて初めての胃カメラ検査だから苦しまないで受けられるだろうか・・・。」
「胃カメラ検査は、苦しいって聞くから怖いな・・・。」
「前に受けた胃カメラ検査が苦しかったからもう2度と受けたくない。」
「検査を受けて病気が見つかったらどうしよう・・・。」
など
実際に周囲に胃カメラ検査で苦しい思いをした人がいれば、検査に対してネガティブなイメージを持ってしまうのは人として当然ですよね。

そんな人の不安を解消する検査が、「検査中に鎮静剤という眠る薬を使用した胃カメラ検査」です。
胃カメラ検査に対してネガティブなイメージを持っている人は、「鎮静剤を使用した胃カメラ検査を受ける」ことをお勧めします。
とはいえ、鎮静剤という薬を使用した検査となるため、少ないながらも多少のリスクはあります。
しかし、そのデメリットを大きく上回るメリットがあるため、当クリニックでは鎮静剤を使用した経口内視鏡検査での胃カメラ検査をお勧めしています。

以下に鎮静剤を使用した胃カメラ検査のメリットとデメリットをそれぞれお示しします。

メリット

その1:
苦痛に配慮した胃カメラ検査が可能


眠ったまま人は自分の意思と関係なく物がのどに入ってくると、自分の身を守るための防御反射として「オエッ」とえずく反射を起こしてそれを吐き出そうとします。この反射を咽頭反射(嘔吐反射、絞扼反射)といいます。例えば、歯磨きをしているときに、のどに歯ブラシが当たった時などに起こる反射です。
一般的にこの反射は年齢が若い人ほど強く起こるため、胃カメラ検査は、若い人ほど苦痛の強い検査になる可能性が高くなります。
鎮静剤を使用しない胃カメラ検査では、検査中に意識があるため内視鏡スコープの挿入で咽頭反射が出現しやすくなります。咽頭反射は一度出現すると、原因となる物が体内から無くなるまで継続してしまうため、内視鏡スコープを口から抜くまで検査中ずっと続きます。
この咽頭反射が「胃カメラ検査=非常に苦しい検査」となる最大の原因です。
ところが、鎮静剤を使用した胃カメラ検査では、検査中に意識がなくなり、この咽頭反射も抑えられるため、ウトウトと眠っている間に検査が全て終わります。

その2:
検査時間の短縮と検査精度の向上


時短検査中に苦しさから患者さんが動いてしまうと、胃をしっかりと膨らませた状態での観察が出来なくなる場合があります。また、医師も患者様が苦しんでいるのを見ると、早く検査を終わらせてあげたいという思いから、検査自体が雑になる場合があります。
しかし、鎮静剤を使用した胃カメラ検査では、患者様が眠っている間に全ての検査が終わるため、苦しさから身体を動かすことがありません。そのため、短時間で胃内を隅々まで観察することができ、病変を見逃すことが少なくなります。

デメリット

その1:
院内滞在時間が1時間程度長くなる


時計
鎮静剤を使用しない胃カメラ検査の場合は、検査が終わればそのまますぐに帰宅可能です。しかし、鎮静剤を使用する胃カメラ検査の場合は、検査終了後に目が完全に覚めるまで30分から1時間程度の休憩が必要です。このため、ご来院からご帰宅までの院内滞在時間は、鎮静剤を使用しない胃カメラ検査よりも長くなります。

その2:
検査当日の運転や危険な作業の禁止


運転禁止鎮静剤を使用した胃カメラ検査の場合、完全に目が覚めた後でも、検査当日はクルマやバイク、自転車の運転や高所での作業などの危険な作業が一日中禁止になります。
これは飲酒後と同じで、自分では完全に目が覚めていると思っていても、実際には薬の影響で多少の判断力低下が残っている可能性があり、重大な事故につながるリスクがあるからです。

その3:
鎮静剤の副作用のリスク


血圧鎮静剤は副作用のリスクが低い薬ですが、世の中に存在する全ての薬には、どんなに可能性が低くても副作用が起こるリスクがあります。鎮静剤で起こる可能性がある副作用は、血圧低下、アレルギー、呼吸抑制などです。
鎮静剤を使用した胃カメラ検査を行う際には、これらの副作用が起こる可能性を事前に評価するために、検査前に既往歴や過去の食べ物や薬のアレルギー歴、基礎疾患などの有無を確認させて頂きます。
また、検査中は患者様の腕には血圧計を巻き、手の指先には呼吸・脈拍が測定できるセンサー(サチュレーションモニター)を装着し、検査中の血圧と呼吸状態のチェックを行います。検査を行う医師だけでなく、看護師2名とあわせて3人体制で全身状態を随時モニタリングし、副作用を起こしていないかをしっかり監視しながら安全性の高い検査を行っています。
万一これらの副作用が起きた場合は、経験豊富な医師がしっかりと対処致します。ご安心ください。

*鎮静剤を使用した苦痛のない
胃カメラ検査を受けるために大切なこと

実は、苦痛に配慮した胃カメラ検査を受けるためには、ただ単に鎮静剤を使用して検査を受けるというだけでは不十分です。
鎮静剤の使用経験の豊富な内視鏡専門医が検査を行っているかどうかという点も、苦痛に配慮した胃カメラ検査を受けるためには非常に重要なポイントになります。
鎮静剤の効き具合には個人差があるため、年齢や性別、身長や体重、飲酒歴や睡眠薬などの服用歴などの違いを考慮して、患者様毎に使用薬剤の種類の選択や投与量の調整が必要です。
これをしなければ、鎮静剤の効きが悪くて検査中に目が覚めて苦しい思いをしたり、逆に鎮静剤が効きすぎて検査後もずっと目が覚めずにふらつきが強く残ったり、気分不良が続くようなことも起こります。
このため、検査を行う医師には、内視鏡検査の高い操作技術や診断能力に加え、それと同じくらい鎮静剤の使用経験も求める必要があります。
苦痛に配慮した胃カメラ検査を受けるためには、患者様毎に最適な鎮静剤の種類の選択と量の調整ができる医師のいる医療機関で検査を受けることが非常に重要です。

鎮静剤には多少のデメリットがあるものの、リスクを十分に把握した鎮静剤の使用経験が豊富な内視鏡専門医が検査を行えば、このリスクを低下させることが可能です。また、患者さんも検査後の注意点をしっかり守る必要がありますが、鎮静剤を使用した胃カメラ検査は、検査を受ける患者さんと検査を行う医師の双方にとって非常に大きなメリットのある検査です。
「胃カメラ検査で苦しい思いはしたくない」
「精度の高い胃カメラ検査を受けたい」
という方は、是非一度、当院にご相談下さい。

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