胸やけ・吞酸症状・
胸部不快感

胸やけ・呑酸症状・
胸部不快感とは

胸やけとは?

胸やけ「胸やけ」とは、胸やみぞおちの辺りで焼けるような感覚やヒリヒリする感じ、しみるような感覚を自覚する症状を表す言葉です。
「胸やけ」は、胃酸が食道に逆流したときに出現することが多い症状です。

吞酸症状とは?

呑酸「呑酸症状」とは、胃液などの胃内容物が食道に逆流してくるような感覚やそれに伴い口や喉の奥が酸っぱく感じるような症状を表す言葉です。
「呑酸症状」は、胃酸が食道に逆流したときに出現することが多い症状です。

胸部不快感とは?

胸部不快「胸部不快感」とは、何となく胸が気持ち悪い感じを自覚する症状を表す言葉です。
「胸部不快感」は、胃酸が食道に逆流した際に出現することがある症状の1つですが、心臓の異常が原因となっていることもあるため、注意が必要です。

胸やけ・呑酸症状・胸部不快感の
具体的な症状について

吐き気症状の感じ方には、かなり個人差があります。以下に挙げる症状は、あくまで一例です。
診察時に、ご自身が感じている症状をそのまま医師にお伝え頂くことが、診断において最も大切です。
また、症状が出現しやすい状況や、症状を軽快させる状況、悪化させる状況(姿勢、食事の摂取、朝・昼・夕などの時間帯など)があれば、それも併せてお伝えください。

など

胸やけ・呑酸症状・胸部不快感の
原因となる病気について

胸やけ・呑酸症状・胸部不快感は、胃酸が食道に逆流したり、食道に炎症などがあるときに出現することが多い症状です。
食道と胃のつなぎ目である食道胃接合部には、下部食道括約筋(LES)と呼ばれる筋肉を中心とした逆流防止機構が存在しており、通常は胃酸の食道への逆流を防ぐ働きをしています。しかし、次のような病気が存在すると、胃酸が食道に逆流しやすくなったり、食道に炎症が生じるため、胸やけ・呑酸症状・胸部不快感が現れることがあります。

①逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)

胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜にびらんや潰瘍などの炎症が起こり、胸やけ・吞酸症状・胸部不快感が出現することがあります。逆流性食道炎は、日本人の3~5人に1人がその症状に悩んでいるとされ、現代の日本人に非常に多い病気です。胸やけ・呑酸症状・胸部不快感の原因として最もよく見られる病気です。逆流性食道炎の確定診断には、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)が必要です。


②非びらん性胃食道逆流症(NERD:non-erosive reflux disease)

非びらん性胃食道逆流症(NERD)は、逆流性食道炎と同じように胸やけ・呑酸症状・胸部不快感が出現する病気ですが、胃カメラ検査を行っても食道粘膜には炎症を認めない病気です。
非びらん性胃食道逆流症(NERD)は、酸逆流が無いにもかかわらず胸やけ・吞酸症状・胸部不快感の症状だけがある「機能性胸やけ」と少量の胃酸逆流がある「逆流性知覚過敏」の2つに分類されます。どちらもストレスや不安、不眠などが原因で発症すると考えられています。確定診断のためには、胃カメラ検査に加えて、食道に胃酸が逆流しているかどうかを24時間モニターする24時間食道インピーダンス・pHモニタリングという特殊な検査が必要です。24時間食道インピーダンス・pHモニタリングは、かなり特殊な検査の為、当クリニックでは実施しておりません。必要な場合には、実施可能な医療機関をご紹介させて頂きます。

③機能性ディスペプシア(FD:functinal dyspepsia)

機能性ディスペプシア(FD)は、胃カメラ検査やCT検査など、様々な検査をしても、胃潰瘍や胃がんなどの症状の原因となる器質的疾患、全身性疾患、代謝性疾患などの異常が何もないにもかかわらず、胃痛(心窩部痛)、胃もたれ、食欲不振、嘔気・嘔吐などの日常生活に支障をきたすような辛い胃の不快な症状が続く病気です。機能性ディスペプシアは、ストレスや不安、緊張などの自律神経の乱れが原因で胃の不調な症状が出現する機能性疾患の一種と考えられています。確定診断のためには、胃カメラ検査や腹部エコー検査などで器質的疾患の存在の否定が必要です。

④食道がん(食道扁平上皮がん)

食道がんにより、食道の管腔が狭くなったり、炎症が強くなると、つかえ感や痛み、胸やけ、胸部不快感などの症状が出現することがあります。喫煙や飲酒、熱いものの飲食の習慣がある人は、咽頭がんや食道がんのリスクが高まることが知られています。特に、飲酒によって顔が真っ赤になる「フラッシャー」と呼ばれる体質の人は、咽頭がんや食道がんの発症リスクが高いと言われています。咽頭がんや食道がんは、早期発見・早期治療が重要です。気になる症状が少しでもある場合は、放置せずに早めに胃カメラ検査を受けることをお勧めします。

⑤バレット食道がん(食道胃接合部がん)

長年にわたる逆流性食道炎で食道と胃のつなぎ目である食道胃接合部に慢性的な炎症が起こると、その炎症が治癒する過程で、胃酸の逆流による刺激から食道粘膜を守るため、食道粘膜は本来の扁平上皮ではなく、胃の組織である円柱上皮に置き換わることがあります。この食道粘膜が扁平上皮ではなく、円柱上皮に置き換わった部分をバレット食道といいます。バレット食道には、一般的な食道がんである扁平上皮がんではなく、胃がんと同じ腺がんであるバレット食道がんの発生リスクが高まることが報告されています。バレット食道がんは、胸やけ・吞酸症状・胸部不快感の原因となることがあります。バレット食道がんは、早期発見・早期治療が重要です。少しでも気になる症状があれば、放置せずに早めに胃カメラ検査を受けましょう。

⑥胃がん

胃がんは進行すると胃の膨らみや胃内容物の胃からの排出を妨げるため、食道に逆流しやすくなるため、つかえ感や痛み、胸やけ、胸部不快感などの症状が出現することがあります。胃がんは、早期発見・早期治療が重要です。少しでも気になる症状があれば、放置せずに早めに胃カメラ検査を受けましょう。

⑦食道アカラシア

食道は食べものを胃へ運ぶために蠕動運動を行っています。この蠕動運動は食道の筋層内の神経により調節されますが、この神経に異常が生じると、蠕動運動障害や食道胃接合部の弛緩不全(しまりが強すぎて胃の入り口が開かない状態)が生じます。この病態を食道アカラシアといいます。食道アカラシアでは、食道の運動異常と食道胃接合部の弛緩不全が起こるため、つかえ感、嘔吐、胸やけ、呑酸症状、胸部不快感が出現することがあります。食道アカラシアは、つらい症状の原因となるだけでなく、食道がんの発症リスクを高めるため、早期発見・早期治療が重要です。少しでも気になる症状があれば、放置せずに早めに胃カメラ検査を受けましょう。

⑧好酸球性食道炎

詳しい原因はまだ明らかにはなっていませんが、特定の食べ物などによるアレルギー反応が原因で食道粘膜に免疫担当細胞の一種である好酸球が浸潤し、慢性炎症を起こす病気です。好酸球性食道炎は、完全に治すことが難しい病気の1つであり、厚生労働省により好酸球性消化管疾患として難病の一つに指定されています。胃カメラ検査の際に食道粘膜から生検を行い、病理組織検査で好酸球が浸潤していることを確認することで確定診断が可能です。

⑨カンジダ食道炎

喘息治療のためのステロイド吸入剤の使用や繰り返す逆流性食道炎が原因で食道粘膜の免疫能が低下し、バリア機能が弱まると真菌感染による食道炎であるカンジダ食道炎を発症することがあります。カンジダ食道炎では、胸部不快感やつかえ感、痛み、胸やけなどの症状が出現することがあります。診断のためには、胃カメラ検査が必要です。

⑩ウイルス性食道炎(ヘルペスウイルス食道炎、サイトメガロウイルス食道炎)

慢性炎症や免疫機能が低下する状態があると、健康な人では感染しないヘルペスウイルスやサイトメガロウイルスによるウイルス性の食道炎を発症することがあります。これらのウイルス性食道炎では、胸部不快感やつかえ感、痛み、胸やけなどの症状が出現することがあります。診断のためには、胃カメラ検査と生検による病理組織検査が必要です。

⑪薬剤性食道炎

テトラサイクリン系の抗菌剤、抗炎症剤、カリウム製剤、ビスホスホネート製剤、キニジンなどの薬剤を服用する際に、水分の摂取量が不十分だと、薬剤が食道で停滞してしまい、食道炎の原因となることがあります。ひどい場合には、食道に潰瘍を作り、穿孔(食道の壁に穴が開く)を起こすこともあります。胸部不快感やつかえ感、痛み、胸やけなどの症状の原因となります。診断のためには、胃カメラ検査が必要です。

⑫虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)・大動脈弁狭窄症

胸部不快感やつかえ感、胸痛・心窩部痛(みぞおちの痛み)、胸やけ、呑酸症状は、多くの場合、食道や胃の病気が原因ですが、心臓の病気がこれらの症状を引き起こすこともあります。特に、労作時(階段を上った時、小走りした時などの動いた時)にこれらの症状が現れ、休息すると症状が改善する場合は、食道や胃が症状の原因ではなく、心臓の病気が原因である可能性があります。
診察時にこれらの症状が出現しやすい状況があれば、お伝えください。

胸やけ・呑酸症状・胸部不快感の
症状がある場合はどうしたら良いの?

食欲不振これらの症状は、逆流性食道炎によるものとは限りません。症状がある場合は、自己判断しないで、必ず消化器内科を受診し、専門医の診察を受けましょう。食道がんや胃がんが症状の原因となっている場合もあります。
特に、症状が強くて食事が摂取できない場合や1カ月以上症状が継続している場合、体重減少がみられる場合は、早めに受診し、必要に応じて胃カメラ検査を受けましょう。

胸やけ・呑酸症状・胸部不快感の
原因を調べるための検査について

胃カメラ検査症状の改善には、その原因の特定が重要です。胸やけ、呑酸症状、胸部不快感の原因を特定するために、最も重要な検査は、内視鏡検査(胃カメラ検査)です。
胃カメラ検査で食道アカラシアが疑われた場合は、胃バリウム検査(胃X線検査)が必要になることがあります。
また、症状が労作時に出現するなど、心臓の病気の可能性が疑われる場合は、心電図検査や必要に応じて循環器内科専門医へご紹介させて頂きます。

当院の胃カメラ検査の特長

胃カメラ検査症状の改善には、内視鏡検査(胃カメラ検査)による原因の特定が不可欠です。
当院では、患者様の苦痛に配慮した胃カメラ検査を提供しており、検査を受けた患者様から「想像していたよりもずっと楽だった」とのお声を頂けるようにスタッフ一同、日々努力しております。
どのように内視鏡スコープを操作すれば、苦痛に配慮した内視鏡検査になるのかを熟知した専門医が検査を担当します。
少しでも気になる症状があれば、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

監修:鹿児島中央駅西口消化器内科・胃大腸内視鏡クリニック  院長 細川 泰三

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